9月に決勝レースが行われるインディジャパン300マイルの開催概要発表会で、つかの間の帰国を果たした佐藤琢磨と武藤英紀が今季のシリーズのこれまでと、第5戦カンザスでのクラッシュについて語った。

 3年目のインディカー・シリーズ参戦となる武藤は、今季ニューマン・ハースへの移籍を果たしたが、今季これまでの成績を「正直恥ずかしい結果しか残せていないというのが本音。スピードはあるんですが、うまく結果に繋がっていない。今のところ悔しい序盤戦でしたね」と振り返る。

 一方の琢磨は「まったく新しい環境で、アメリカでの生活も初めてなんですが、アメリカのレースを一戦ずつ、新発見をしながら、徐々に手応えを感じてここまで来ています。スタートからしてインディはローリングだし、本当発見が多いですね。ただ、サイドバイサイドでのバトル、追い抜きというのはインディカーの方が多く感じるので、そこをいちばん楽しんでいます」とF1との違いを語っている。

 迎えた第5戦カンザスでは、武藤は「チームが用意してくれたクルマがすごく速くて、予選は4番手になって、決勝序盤は苦しかったんですが、後半はすごくペースも良くなって、表彰台も狙えるレースができていた」と語るレースで終盤5番手を走行。琢磨も「最初のオーバルなので慎重にスタートしました。でも、ちょっとアクセルゆるめただけで驚くくらい抜かれてしまった。僕は真ん中くらいからスタートだったんですが、あっという間に20番手くらいに落ちてしまって。それから1台ずつ順位を上げていった」と初のオーバルでの集団の走り方を学習しながら、6番手までポジションを上げ、最後のコーションではふたりがトップ6につけた。

 しかし、リスタート直後、周回遅れのマシンがラインを変え、外側に入ってしまった武藤と琢磨は接触。2台はレースを終えることとなってしまった。この状況について武藤は「ふたりがそのままフィニッシュできればベストだったんですが、オーバルでは無い方がいいですけど、クラッシュがつきものですから。たまたま相手が琢磨さんだった訳で、起こってもおかしくないアクシデントだったので、僕としては次のレースに集中しています」と振り返る。

 一方の琢磨は「武藤君も説明してくれたとおり、3台が重なったままになってしまった。オーバルではレーンチェンジが危険なので、本来は自分のラインを守らなきゃいけないんです。スポッターがいるんですが、僕の方がちょっと勢いがあって、外側に並んでいった。その時に、武藤君の内側に誰かいるのがまったく僕からは見えていなかったんですね。それで磁石に引き寄せられるように……(苦笑)」と状況を語る。「あとで映像を見てみたら、武藤君もまったく行き場がなかったですね。どうすることもできなかった。でも、これをいい教訓にして、状況の中で何が起きるのか分からないのがオーバルですからね。気をつけないといけないと思います」と初オーバルの“洗礼”についてコメント。

「そういう意味では武藤君が非常に寛大な気持ちで事故をみてくれているので、僕も助かりました(苦笑)」と琢磨が笑えば、武藤も「ルーキーにはよくあることですからね(笑)」とちょっと先輩目線(?)なコメントで会場を沸かせた。

 ふたりはカート時代にともに地方選手権を戦った間柄。その時にも上位をふたりが争ったもの、接触したのは実は初めて。「あそこまで仲良くなったのは初めてですね(笑)」と琢磨。「インディジャパンではふたりで上位を争いたい」というふたりは、この後アメリカに戻り、シーズンのクライマックス、インディ500に臨むことになる。

●詳細な開催概要はhttp://www.twinring.jp/indyjapan/へ

●佐藤琢磨×武藤英紀スペシャル対談実現! 週刊オートスポーツNo.1252 5月20日号は必見!
http://as-web.jp/autosport/

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